NAIST受験記(2023年度春入学第2回)

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都立大の院試に落ちた

東京都立大学システムデザイン研究科 2023 年度入学試験に落ちました。

都立大院試の情報は、こちらから見ることができます。

私が受験した情報科学域の入試概要は、以下の通りです。

  • 志願票(院で研究したいことについての小論文など)
  • 英語
  • 筆記試験(数学+専門科目)
  • 面接

※配点は非公開のようです。

詳しくは募集要項をご一読ください。

都立大の院試に落ちた理由は、単純に勉強不足です。(各位本当にすみませんでした。)

進路どうしよう

院進か就職か

現在在籍している大学の院試に落ちたわけですが、私のその後の進路の優先順位は以下の通りです。

  • 他大学の大学院を受験
  • 就職
  • 院試浪人

私「就職するにも何も準備していないし、すでに 8 月末だし、まあ他大学の大学院を受けよう!全落ちしたら院試浪人しよう!」 と考え、軽い気持ちで他大学の大学院を受けることにしました。

どこの院を受けようか

都立大の院試が終わった時点ですでに 8 月末でしたが、受けられる大学院はそこそこありました。 しかし、私はあまり裕福ではなかったので、受ける大学院は国公立のみに絞ることとしました。 この条件で受けられる大学院でかつ私の興味がある研究室がある大学院は、以下の4つでした。

いろいろ調べていくうちに、すべて受験するのは私にかかる負荷としては大きすぎるとわかったので、NAIST のみの受験に絞ることとしました。

NAIST 受験の決め手

なぜ NAIST 受験を決めたかと言うと、以下の通りです。

  • 国立の大学院
  • 研究したいテーマにピッタリ合致した研究室があった
  • 大学に NAIST 出身の先生がいた
  • 関西に行ってみたかった

第 1 志望の研究室が 2021 年に新しくできた研究室で、より濃密な時間が過ごせるという思いもあります。

NAIST 受験対策

NAIST の入試の概要は、以下の通りです。

  • 調査書 / 50 点
  • 英語 / 30 点
  • 数学 / 30 点
  • 小論文 + 面接 / 90 点

※参考 : 入試に関する Q&A | NAIST 情報科学領域

調査書、小論文、英語は事前に出願時に提出、数学は面接の前に口頭試問があります。 調査書は大学で受けた授業とその成績(おそらく専門科目と数学の成績および GPA を見てる?)で決まっているのかもしれません。 出願時の私のGPAは 2.49 です。

小論文

NAIST の院試では、小論文を提出する必要があります。

こちら から、私が提出したレポートを確認することができます。

小論文については、都立大で提出した志願票を少し改変しただけで提出しました。 都立大の志願票はかなり細かく書くことが指定されるので、都立大の募集要項を見ながら書くと非常に良いかと思います。 私の場合はそれに加えて、研究室の先生に志願票を細かく添削していただいたので、本当に助かりました。

小論文で書くことは、以下の 2 つでした。

  • 「これまでの修学内容(卒業研究等)について」
  • 奈良先端大において取り組みたい研究分野・テーマについて」

この 2 つについて書くわけですが、様式は全く指定されておらず非常に困りました。 はじめは Latex で書こうと思ったのですが、「物質創成科学区分受験者用小論文テンプレート」というものが NAIST から配布されていたので、それを利用して書くこととしました。

小論文を書く際に気を付けたことを、以下に記載しておきます。

  • どんな先行研究があってどこが似ていてどこが違うか
  • 公的機関が出しているデータを活用する
  • 出典等を細かく記載する

下2つは当たり前かもしれませんが、先行研究については Google 検索や Google Scholar などを使って細かく調べました。

小論文は、第 1 志望の研究室の先生にも 1 度添削をしていただきました。

英語

英語は TOEIC のスコアを提出しました。 提出した点数は、690 点です。

受験後に知ったのですが、NAIST の合格者平均は約 700 点というのをどっかで見た気がします。

TOEIC の勉強はほぼしなかったので、他の方々の勉強法を参考にしてください。 私は自宅から会場まで移動の間で、YouTubeに転がっていたリスニング模擬テストを聞きながら、高校時代に使っていたターゲット 1900 を流し見しました。

数学

数学は先述の通り、面接の前に口頭試問という形で出題されます。 数学の面接官は 2 人います(おそらく NAIST で数学を教えている先生方)。 出題範囲は、募集要項に記載があります。

NAIST の数学は都立大と比べて簡単なので、線形と解析の黄チャートを使って忘れているところがないようにかつ計算ミスをしないように勉強しました。 本のタイトルを以下に記載しておきます。 私は使い慣れている黄チャートを使いましたが、マセマを使っている先輩が多い様子なので好きな方でいいと思います。

  • チャート式シリーズ 大学教養 線形代数の基礎
  • チャート式シリーズ 大学教養 微分積分の基礎

数学で少しでも高得点を取るコツは、「わからない部分は面接官にわからないと伝える」ことだと思います。 NAIST の口頭試問では、わからないと言ったり明らかに行き詰っていたりするとヒントをくれます(ただし 100% もらえるわけではないっぽい)。 私も実際にヒントをもらいました。 私は行き詰まってしまってヒントをもらったのですが、時間を効率的に使うのであれば「わからない」と伝えた方がよさそうです。

私が受験したときは、線形代数 1 問、解析 1 問でした。 以下、問題と簡単な解法です。(権利に配慮し、改題しています。)

線形

 T は線形写像 T:\mathbb{R}^2 \rightarrow \mathbb{R}^2

 \begin{bmatrix} 1 & 1 \end{bmatrix}^\top \rightarrow \begin{bmatrix} 2 & 2 \end{bmatrix}^\top
 \begin{bmatrix} 2 & 0 \end{bmatrix}^\top \rightarrow \begin{bmatrix} 0 & 0 \end{bmatrix}^\top

のとき、以下の 4 つのベクトルについて  T(\boldsymbol{v}) はどう変換されるか。

 \boldsymbol{v} = \begin{bmatrix} 2 & 1 \end{bmatrix}^\top
 \boldsymbol{v} = \begin{bmatrix} a & b \end{bmatrix}^\top (a, b \in \mathbb{R})

(本番は 4 つのベクトルが出題されました)

線形写像は表現行列を持つので、2次正方行列

 A = \begin{pmatrix} x & y \\ z & w \end{pmatrix}

を考えてゴリゴリ計算してけばOKです。

線形はノーヒントで解けました。

解析

 n \in \mathbb{N} として、

 \frac{1}{n + 1} < \log(1 + \frac{1}{n}) < \frac{1}{n}

を面積に注目して証明せよ。

 \log(1 + \frac{1}{n}) = \log(\frac{n + 1}{n}) = \log(n + 1) - \log(n) = \int_{n}^{n + 1} \frac{1}{x} dx と変形できるので、  f(x) = \frac{1}{x} のグラフを書いて面積で評価してあげると解けます。

解析は、面接官から「行き詰まっているようなのでヒントを言うと...」と私に伝え(!?)、「 log はある定積分の値なんだけど...」とヒントをくれました。 先述の変形がわかり、面接官に「こうすれば解けます」と伝えた直後に時間切れになってしまいました。

解析は時間内に完答できませんでした。

面接

数学の口頭試問が終わった直後、面接に移ります。

面接官は3人いて、若い先生(助教?)と教授 2 名(うち 1 人は第 1 希望の研究室の先生)でした。

面接では、以下のように大きく 2 つのパートに分かれていました。

  • 学部で勉強したことと NAIST で研究したいことについて1分ほどで発表
  • 事前に提出した小論文について質疑応答 & ディスカッション

1 分で小論文の概要を発表するとは思っていなかったので、まったく準備しておらずすべてアドリブで発表することとなりました。 ただ、都立大の志願票を改変していることと細かく添削をしてもらっていた関係で、小論文はほぼ 100% 頭に入っていたのでなんとかなりました。

質疑応答 & ディスカッションについては、小論文に少しでも大雑把な部分や気になる部分があるとそこについて質問されます。

  • その研究はどのように工学的応用をするか
  • その応用よりもこっちの応用の方がよりよいのではないか

といったようなことを訊かれます。

序盤に「あなたがシステムにそう言われたら素直にそうするんですね?」的な質問をされ、「私ならそうします」と答えたら「ふーん」みたいな反応をされたので、正直「終わったな」と思いました。

ただ、終始堂々とした態度で臨むように心がけ、きつい質問が来たら「それはおっしゃる通りですが、私は~だと思います。」というような、譲歩構文で話すようにしました。(今思うとこれがよかったのかも。)

合格

面接で絶望しましたが、合格することができました。

ちなみに、私が受けた第 2 回入試は合格最低点が 150 点で、私の入試成績は 155 点でした。(やばすぎ)

問い合わせ

Twitter の DM を開放しているので、なにか聞きたいことがあれば DM をくだされば、答えられる範囲でお答えします。

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情報科学若手の会 という学会の代表幹事を務めていますので、少しでも気になった方はお問い合わせください。 ちなみにこの会は高校生でも大歓迎です。(実際私も高校 2 年生のときから参加しています。)